慢性C型肝炎、ソホスブビル/ダクラタスビルvs.ソホスブビル/ベルパタスビル/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/16

 

 慢性C型肝炎患者において、ソホスブビル/ダクラタスビルのソホスブビル/ベルパタスビルに対する非劣性が示された。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのGraham S. Cooke氏らが、ベトナムの公立病院2施設で実施した2×4要因デザインの無作為化非盲検非劣性試験の結果を報告した。WHOは、C型肝炎ウイルス感染症に対して3種類の抗ウイルス薬の併用療法のいずれかを8~12週間行うことを推奨しているが、これらのレジメンを比較した無作為化試験はなく、より短い治療期間で高い治癒率を達成できる可能性が示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「新たな戦略で高い有効性が認められたことから、治療へのアクセスが困難な集団への治療アプローチに役立つ可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2025年5月7日号掲載の報告。

ソホスブビル/ダクラタスビル vs.ソホスブビル/ベルパタスビルで、4つの治療戦略を検討

 研究グループは、軽度~中等度の肝線維化を有する18歳以上の慢性C型肝炎患者を、施設およびウイルス遺伝子型(1~5型vs.6型)で層別化し、ソホスブビル400mg+ダクラタスビル60mg(ソホスブビル/ダクラタスビル群)またはソホスブビル400mg+ベルパタスビル100mg(ソホスブビル/ベルパタスビル群)の各配合錠群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 同時に、それぞれ次の4つの治療戦略に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。(1)12週間連日投与(標準治療)、(2)4週間連日投与+週1回ペグインターフェロン アルファ-2a皮下注(計4回)、(3)2週間連日投与後、平日5日間投与10週間(導入・維持療法)、(4)7日目のウイルス量に基づき治療期間(4・8・12週間)を調整する治療反応性ガイド(RGT)療法。

 主要アウトカムは、治療終了後12週時のウイルス学的著効(SVR)とし、実際に受けた治療にかかわらず主要アウトカムを評価できるすべての患者を解析対象集団とした。非劣性マージンは、薬剤比較では5%、治療戦略比較では10%とし、安全性は無作為化された全患者で評価した。

ソホスブビル/ダクラタスビルはソホスブビル/ベルパタスビルに対し非劣性

 2020年6月19日~2023年5月10日に624例が無作為化された。患者背景は、年齢中央値42歳(四分位範囲:37~51)、男性470例(75%)、女性154例(25%)で、遺伝子型1~5型は328例(53%)、遺伝子型6型は296例(47%)であった。

 主要アウトカムを評価できた患者は609例(98%)で、SVRの達成率はソホスブビル/ダクラタスビル群で97%(294/302例)、ソホスブビル/ベルパタスビル群で95%(292/307例)、両群のリスク差は2.2%(90%信用区間[CrI]:-0.2~4.8)であり5%の非劣性マージン内であった(ソホスブビル/ダクラタスビルがソホスブビル/ベルパタスビルより有効である確率93%)。

 治療戦略別では、SVRの達成率は、標準治療群で99%(148/150例)、4週間+インターフェロン群で94%(143/152例)(対標準治療のリスク群間差:-4.5%、90%CrI:-8.3~-1.3)、導入・維持療法群で99%(151/152例)(0.6%、-1.1~2.7)、RGT群で93%(144/155例)(-5.7%、90%CrI:-9.6~-2.3)であり、すべて10%の非劣性マージン内であった。

 重篤な有害事象は、ソホスブビル/ベルパタスビル群で11例(4%)、ソホスブビル/ダクラタスビル群で6例(2%)に認められたが、両群間に差はなかった(リスク群間差:-1.6%、95%CrI:-4.2~0.8、p=0.90)。一方、副作用は、標準治療群3%(5/154例)、4週間+インターフェロン群70%(109/156例)、導入・維持療法群4%(6/156例)、RGT群3%(5/158例)に発現し、4週間+インターフェロン群で多く認められた(標準治療群とのリスク群間差:66.8%、95%CrI:59.2~74.0、p<0.0001)。

(医学ライター 吉尾 幸恵)